イベント情報

秋祭特集 梛(なぎ)八幡神社の獅子舞(重要文化財)

(今回のインタビューにお答え頂いた方は、西鳥井の森崎自治会長、熊見副会長、森崎副会長さんです。)

<はじめに>
たつの市神岡町にある梛(なぎ)八幡神社の獅子舞を西鳥井(140戸)が奉納します。これは昔の「村高」により決められた20年に1回(前回は昭和61年)の当番となります。8月22日から獅子、太鼓、笛、9月5日から子役者(2歳から幼稚園、小学校児童)の4会場でのパート練習、9月15日から一堂に会しての全体練習と長丁場にわたります。
10月20日は、神事の後13時から梛八幡神社舞台で「神楽、八嶋、花笠・・・継獅子(つぎじし)」の12種目を舞い上げます。西鳥井自治会住民は、熱き思いで心をひとつにして毎日練習に励んでいます。

Q;この祭の見所はズバリ、何でしょうか?

A;”沢田の獅子舞”と言ったら”継獅子”というぐらいですから、やはり“継獅子”(大人の肩の上に子役が乗る獅子)が見所です。

Q;色んな村が年毎に当番制でやっておられると聞きましたが?

A;西鳥井の村は20年ぶりです。今年の2月ぐらいから準備にかかっていまして、10月20日の本番、そして11月3日の市民文化祭にも出ます。

Q;20年ぶりだと前やった人からの舞いの伝承はどうするのですか?

A;20年前のビデオを見たりしていますが、実際の動作については保存会の先生から8月22日から約1ヶ月間指導を受けます。今は、獅子、笛、太鼓が別々に練習していて、9月5日から子役も練習を始め15日には全員がそろって合同練習を開始します。そして本番(10月20日)の1週間前の10月15日には、衣装揃(いしょうぞろえ)といって、本番用の衣装をつけていわゆるリハーサルをします。

Q;いろいろ大変だと思うのですが、悩みはありますか?

A;他の祭は、最近土日等に祭を振り替えてやっていますが、ここの祭は10月20日と決まっています。今回は金曜日なので、やる人も仕事を休まねばならないし、見に来る方も平日なので簡単に来ることが出来ないのが悩みですね。

Q;子供さんが出られるようですが、どれぐらいの年令ですか?

A;2歳ぐらいから小学生ぐらいまでで、6年生の男の子が少ないので5年生がやったりしています。全体では、1歳から7歳までが24人、小学生が21人います。
今日も太鼓は4,5人来ないといけないのに1人しか来ていません。子供たちも勉強があるのでたびたび練習を欠席せざるを得ない場合もあり、なかなかメンバーがそろいにくいのも現実です。試験勉強だと言われたらどうしようもないですな。

Q;20年周期というのはなぜそうなのですか?

A;昔は米の収穫高というか、そういう村の大きさによってサイクルが決められたようです。沢田という村は5年周期で短い周期の村もあります。また他の村では15年や10年周期もあります。

Q;演目は何種類あるのでしょうか?そして見せ場は何ですか?

A;子供が少なくなってそんなに多く出来なくなりつつありますが、我々の村は12種目、フルの種目をやります。踊りの種類は、八嶋(やしま)、花笠(はながさ)、前切り(まえきり)等の12種類で、見せ場は、何と言ってもラストの継ぎ獅子ですね。

Q;村全体で取組まれているとお聞きしましたが、20年前はどういう状態でしたか?

A;当時の資料によると、昭和61年は、総勢131人がたずさわったようです。内訳は、子役が63人、獅子使い15人、笛吹き20人、太鼓6人、後は世話役です。

Q;世話役というのは何をする人ですか?

A;笛や飾り等の道具の準備とか、お宮や近隣の村へ案内を出すとか、いわゆるスタッフの役割です。20年前に世話役をやった人は高齢であったり他界されており、我々は素人集団同然です。一昨年や前の年とかにやった村に分からないことを聞きに行っています。
我々は140戸もある村なので貧粗なことにならないようにしないといけないですから。
役所や会社のように専任の担当はいませんし、普段の仕事に加えていろいろやらねばならない。また、色んな経費もかかってくる。獅子頭と胴のゆたん(布)、笛、扇子、傘等の道具からお茶代、先生の謝金、練習場のクーラーの設置、獅子の修理等々、莫大な経費がかかります。
たとえば笛は竹を切ってきて先生に穴の位置を決めてもらって穴をあける。凝った人は、それに漆を塗ったり金具を付けたりしている。いわゆる本当に購入しないといけないもの以外は、笛をはじめほとんど自作ですがそれでもこれだけかかります。アクロバットの練習もやりますので、怪我も付きものなので保険も入らねばならないですしね。

Q;獅子などは神社の共有物ではないのですか?

A;それぞれの村の持ち物ですよ。共有物にした方が良いと思うがそうはなっていない。5年周期のところや20年周期のところがあって共有しにくいということだと思います。婦人会の方々が20年前の道具類を補修してくれています。

Q;準備が長丁場ですが、他の祭とどう違いますか?また、メリットは?

A;祭は、1日で終わるものではなく、こちらの獅子舞は2ヶ月も練習しないといけない。これが大変なんです。
いろいろ大変ですが、良い面もありますよ。我々の村は140戸あって、古い村と新しい地域の住民とが毎晩こうやって仲良くやっている。いわゆる村の求心力が高まる。こういう時代だから、“隣の人は何する人ぞ”というのが当たり前になっている。どこにどなたがいるか、顔と名前が一致しないとか。しかし、一緒に練習したりしていると、道で顔を合わせても挨拶もするし、コミュニケーションも良くなる。祭の練習は気持ちを1つにするメリットがある。なんせ不細工なことが出来ないということで、村として“20年に1回のことだから”という考えの元にみんなが力を合わせています。
これだけの長丁場だから、みんなの“和”が最も大事です。

龍野新宮御津揖保川特集バックナンバー|龍野新宮御津揖保川
イベント情報 メニューに戻る

たつの市の文化紹介『たつのへようきたったなぁ』
制作:たつの文化活動促進運営委員会(TCC)|メールアドレス:jouhou@tatsuno.info