たつのの有名人＆達人

＜子どもの頃の思い出＞

司会；井戸知事は新宮町のご出身ということをお聞きしていました。小さい頃の思い出はどんなことがありますか？

知事；私は新宮町で生まれて小学校３年までいたのですが、その後横浜に引っ越しました。だけど夏休みごとに２週間ぐらい母の実家に戻って来ていましたので、新宮とは縁が切れたことがありませんね。だから新宮には夏の思い出がいろいろあります。揖保川で泳いだりしました。当時の水浴び場のおもむきは変わってしまっていますが、三ツ石というところがありました。そこは深みがあって一種のプールみたいになっていてよく泳ぎに行きました。
それから屋形船に乗せてもらったり、鮎のつかみ捕りをやったり、栗栖川で夜にカーバイドを焚いて、魚をヤスで突いたりしました。

揖保川

司会；そうですね。私もよくやりました。

知事；また台風シーズンにはヤナを仕掛けておくんですね。

司会；カゴみたいなやつですね。

知事；ウナギとかナマズとかがよく捕れましたよ。やはり揖保川の思い出が多いですね。

司会；そうですね。当時は鮎やナマズとかは自然のままでいましたね。

知事；プールはありませんから、泳ぐ時は揖保川か新舞子でした。今でいうと志んぐ荘の吊り橋の下あたりで泳いでいました。深いところは子供はダメだと言われていましたが、川下のセキぐらいまで行っていました。

新舞子の海

司会；今もセキがありますね。

知事；そのセキですが、新しく取水塔（水門）を作りましたが、皆から“景観を壊すな”と怒られましたよ。昔から志んぐ荘から屏風岩の近辺は、京都の嵐山に似ていることから、“小嵐山”と呼ばれていたのですが、そういう風景がまったく死んでしまったと言われました。私もね、設計図を見ただけではそこまで気がつきませんでした。残念ですが、“故郷の皆さんご免なさい”と言わざるを得ないです。（苦笑）

それと、新舞子の海は思い出があります。遠浅でしたね。今もそうですか？

 

司会；今も変わっていないと思います。

知事；沖の方まで行ってついつい時間を忘れ、ひたひたと満ち潮になってくると、深いところと浅いところが繰り返しあって、おぼれそうになりましたよ。これもまた楽しいんですけどね。（笑）

司会；山の方の思い出はありますか？

知事；懐かしいのは秋のマツタケ狩りです。志んぐ荘の上の方ですが、山に入っていったら結構マツタケがありました。牛肉と鍋を持っていって自分で採ったマツタケのすき焼きを食べるのは最高でしたね。

司会；この近辺でそんなにマツタケが採れたんですか？

亀山山頂付近の赤松

知事；意外と新宮の山は赤松が多かったですよ。その昔は赤松家が治めていたのですから、多分苗字の由来も赤松が多かったことに起因しているかもしれません。
下川原にバス停があってそこで写生会がありました。結構賞をもらいましたよ。
（後で兵庫県の公式サイトを見ると“揖保川を描いた絵で金賞を貰った”ことが書いてありました。サスガですね。）

司会；今も観光客の方が城跡とか近辺で写生をされているのをよく見かけますが、やはり絵になるところが多いと思います。

＜合併について＞

司会；一昨年１０月に龍野が合併し、ひらがなの“たつの市”になりましたが、昔から龍野にいる人から名前に重みがないと言われたことがあります。その辺はどう思われますか？

知事；そうですね。私は新宮生まれなので“たつの市出身”と言われてもまだしっくりきませんね。“しんぐ”出身というのが正直な気持ちです。ただ合併は約５０年前にもあって、その時は合併地域をめぐってかなり地域ごとに険悪になったそうです。そういう経験の中から地域間対立をやめて小異を捨てて大同につこうということが基本にあったと思います。ただ、龍野市が「タツノ」という名前を捨てることは出来ない。揖龍と言っても全国的に理解されることにはならない。本当は漢字の龍野の方が対外的には通じやすいとは思いますが、今回のような“平成の大合併”という大義の為にやむを得なかったというところではないでしょうか。
私も一昨年の10月に通知が来ました。“あなたの本籍はたつの市新宮町○○です”とね。 びっくりするのと“そうか、合併したんだなぁ”と実感させられましたよ。でも気持ちの上ではまだまだですが。また、このような“龍野”のインタビューを受けて良いのかな？とか思います。（笑）