赤トンボについて

アキアカネとは?

 俗に赤トンボと呼ばれるトンボで、トンボ科アカネ属に分類され、日本では全国的に広く分布しており、普通によく見ることができます。狭義にはこの種だけを赤トンボと呼ぶことが多く、季節による長距離移動がよく知られています。

写真:ナツアカネ(成虫・未熟・ヤゴ)

    同様によく知られた赤トンボにはナツアカネがあります。アキアカネは、夏に一旦平地から高地へ移動し、秋に再び平地に出現するのに対して、ナツアカネは一生を通じて平地から姿を消すことはありません。
そのために夏にも低地で見られる方にナツアカネの名が付けられたのであり、活動時期は両種にほとんど差はないそうです。

アキアカネの一生と習性

 ・アキアカネは、暑さに強くないことから平地と高地の長距離移動を行うトンボですが、この移動距離は他のトンボと比べて極めて長距離であることがよく知られています。
 ・アキアカネを含むほとんどのトンボは1年1世代といって、1年でその一生を終えます。

卵からふ化し、幼虫(ヤゴ)となってミジンコ等を活発に捕食して成長します。 写真:成熟したアキアカネと未成熟のアキアカネ
初夏の夜に羽化。羽化後、暑さを避けるために、すぐに標高の高い山地へ移動。涼しい山地で生活して十分成熟し、体色もオレンジ色から赤色に変化していきます。
平地が涼しくなる10月ごろに高地から平地へ移動し、群れを成して生活しつつ、ため池や水田などに産卵し、12月上旬頃までにその一生を終えます。
産卵された卵は、水中や泥の中などで冬を越します。
  

アキアカネの往復運動

アキアカネの生態

1) ヤゴの生息地と食べ物 水田などの湿地帯でミジンコ、ボウフラ、おたまじゃくし等を捕食します。
2) 成虫の生息地と食べ物 平地や丘陵地で、蚊、蜂、アブ、コガネムシ等を捕食します。小型のクモを襲うこともあります。
3) 外  敵 蛙、ザリガニ、魚、鳥等
4) 止まり方 翅(ハネ)を体の下に徐々に下げて休むことに特徴があります。他のトンボは、翅(ハネ)を水平のまま、若しくは垂直に閉じて休みます。
5) 分布状況 九州から北海道まで、日本全国に広く分布しています。


※「赤トンボについて」のページの写真は、北海道大学出版会の
 「原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑」より転載させて頂きました。